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公開日:2026年6月16日

最終更新:2026年6月17日

引越しを終えた後、業者から「追加料金が発生しました」と言われることがあります。

 

特に電話見積もりだけで話を進めた場合、「当初の金額と全然違う」と戸惑う人は少なくありません。

 

結論から言うと、見積書に記載されていない追加料金は、標準引越運送約款により原則として断れます。ただし、依頼者側に申告漏れがあった場合など、支払い義務が生じるケースもあります。

 

このページでは、追加請求を断れるケースと支払うべきケースの違い、当日の対処法を紹介します。

 

 

引越しの追加請求、そもそも断れるの?

標準引越運送約款が根拠——見積書にない請求は原則無効

引越し業者は、国土交通省が定めた「標準引越運送約款」に準拠して営業することが義務付けられています。標準引越運送約款第19条第4項では、荷送人(依頼者)の責任による事由がない限り、見積書を超える追加料金を請求することは認められていません。

 

つまり、見積書に書いていない追加料金を一方的に請求することは、約款上認められていません。電話見積もりで合意した金額があれば、それを基準に判断されます。

 

【出典】国土交通省「標準引越運送約款」(令和7年3月19日 国土交通省告示第193号・2025年4月1日施行)

https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000033.html

 

断れるケース vs 払う義務があるケース

ただし「見積書にないから全部断れる」というわけでもありません。状況によって対応が変わります。

 

状況 判断
見積書に記載がない料金を請求された 原則、断れます(標準引越運送約款)
依頼者側の申告漏れで荷物が増えた 追加料金が発生する可能性があります
訪問見積もりをしたのに当日金額が変わった 業者側の確認不足として交渉できます
エアコン工事など事前合意なしの特殊作業 見積書への記載有無を確認してください

 

申告漏れが依頼者の側にある場合でも、「この金額はどこから来ているんですか」と聞く権利はあります。業者の言い値をそのまま受け入れる必要はありません。

 

追加請求が起きやすい4つのパターン(実例つき)

どんな状況で追加料金が発生しやすいのか、実例をもとに確認しておきましょう。

 

4ケースの体験談に入る前に、追加請求の金額感を把握しておく。「クレーン作業で2〜3万円かかった」という話を見積もり前に知っていれば、事前に確認できる。

 

追加請求の名目 相場目安 正当な理由がある場合
エアコン取り外し・取り付け 1〜2万円/台 見積もり時に伝えていなかった
クレーン作業 2〜3万円 搬出入に特殊作業が必要と判明
スタッフ追加 1〜2万円/人 荷物量が大幅に増えた
梱包資材 数千〜1万円 追加で資材が必要になった
駐車違反リスク対応 数千円 駐車禁止区域での対応

※金額は目安。業者・地域・荷物量によって異なる。
参考:国土交通省「標準引越運送約款」(2025年4月1日施行)https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000033.html(nofollow)

 

ケース1:電話見積もりで荷物を申告しきれなかった

アルバイトと学校の往復で忙しく、実際に業者に来てもらう時間が取れなかったため、電話見積もりだけで話を進めることにしました。

 

電話でベッドやソファ、冷蔵庫など一般的な家具の種類を伝え、部屋は1DKだと告げると、単身パックで手配できるとのこと。予算内に収まりそうで安心していました。

 

ところが引越し当日、スタッフが荷物を積んでいくと、段ボールが10個ほど入りきらないことが判明。

 

業者に確認を取ってもらうと、こんな指摘が来ました。

 

 

カラーボックス3つ分が申告漏れではないでしょうか


 

確かに電話口では「カラーボックスの数を教えてください」とは聞かれませんでした。でも「申告ミスがあった」と判断され、業者側に責任はないと言われてしまいました。

 

結果、軽トラックを1台追加手配してもらうことになり、追加料金は1万8千円。単身パックにした意味がなくなってしまいました。

 

電話見積もりだけだと、こうした申告漏れは意外と起こります。業者が「何を聞いたか」の記録が残りにくく、後からの交渉が難しくなることが多いです。

 

ケース2:オプション作業で想定外のスタッフ追加料金が発生

夫婦共働きで、梱包作業の時間が取れなかったため、当日の荷物まとめ作業をオプションで依頼することにしました。

 

電話見積もりでは「2人暮らし・2tトラック」の構成で進めることになり、荷物量もギリギリ入ると言われていました。

 

ところが当日、梱包を担当したスタッフからこう言われました。

 

 

2人暮らしとうかがっていましたが、食器類が多すぎて……このままでは終わりません


 

コレクション用の食器が思ったより多かったのです。「スタッフをもう1人呼ぶ必要があります。費用は1〜2万円です」と言われました。

 

追加のスタッフ費用は出せないと判断し、自分たちで手伝うことにしましたが、翌日から仕事だというのに、慣れない梱包作業でヘトヘトに。

 

後から振り返ると、訪問見積もりをお願いしておけばよかったと感じました。

 

ケース3:エアコン・クレーン等の特殊作業が当日発覚

階段を通らない冷蔵庫とクレーンで吊り上げ搬入のイラスト

3階建て物件に引越す予定で、電話見積もりの際に「3階です」と伝えていたあるケースです。当日業者が来てみると、冷蔵庫が階段を通らないことが判明。前の道路も狭くトラックを近くまで入れられなかったため、ベランダから吊り上げ搬入するクレーン作業が必要になりました。

 

「3階だと伝えていたのに、なぜ当日まで分からなかったのか」と感じるかもしれませんが、電話だけでは実際の搬入ルートや道路幅まで確認しきれないのが現実です。結局、クレーン費用として2万5千円を追加で請求されました。

 

  • クレーン作業の追加費用:2〜3万円が相場
  • エアコン取り外し・取り付け工事:1台あたり1〜2万円程度
  • いずれも見積書への記載がなければ、原則として断れる可能性があります

 

当日「クレーンが必要でした」と言われたら、まず手元の見積書を確認してください。記載がなければ「見積書には含まれていませんよね」と冷静に確認するだけでいいです。それだけで業者側が確認に動くことがあります。

 

ケース4:梱包が終わらずスタッフ追加を求められた

前日まで残業続きで、朝6時から梱包を始めたものの、業者が来た8時になっても半分も終わっていませんでした。

 

「手伝えますが、追加費用が1万円かかります」と言われ、引越しを止めるわけにもいかず、そのまま支払った。

 

これは依頼者の準備不足が原因なので、追加料金の支払い義務が生じやすいケースです。ただし、見積書に「荷物の梱包状態は完了済みであること」と条件が書かれているなら、それを確認してから交渉の余地があるかを判断してください。

 

当日その場で使える対処法3ステップ

いざ当日追加料金を請求されたとき、焦って言われるがままにならないために、落ち着いて動ける手順を確認しておきましょう。

 

STEP1:「見積書と違う」と冷静に指摘する

まず、手元の見積書を取り出してください。請求されている項目が書かれているかどうか、目で確認します。

 

記載がなければ、こう伝えてみてください。

 

「この追加料金は見積書に記載されていませんが、標準引越運送約款では見積書を超える追加請求は原則認められていません。確認をお願いできますか」

 

怒鳴る必要はありません。約款を根拠に示すと、その場で確認してくれることがあります。

 

申告漏れがあったとしても、「その金額はどこから出てきたんですか」と確認することはできます。「見積書にはこう書いてありますが」と伝えてみるのも一つの方法です。

 

STEP2:やむを得ず払う場合は「異議留保」を領収書に記載する

「引越しを完了させてほしいから、とりあえず払う」という状況もあります。そういう場合は、異議留保(いぎりゅうほ)を使ってください。

 

【異議留保の書き方】

 

領収書を受け取る際、余白か但し書き欄に以下を書き加えてもらってください。

 

本支払いは強要によるもので、納得していません(異議留保)

 

この一言を書いておくことで、後から返金請求を行う権利を保っておけます。業者に断られた場合は、自分でペンを持って書き加えても構いません。

 

異議留保は民法上の概念で、「支払ったこと=同意したこと」にならないようにするためのものです。後日交渉や相談窓口への申告をする際に、重要な証拠になります。

 

STEP3:支払い後に返金請求できる窓口を使う

業者との交渉がうまくいかなかった場合は、外部窓口を使う方法があります。

 

  • 消費者ホットライン 188(全国共通・年末年始を除く原則毎日)
    最寄りの消費生活センターにつながります。相談は無料です
  • 国土交通省 自動車局
    引越し業者の約款違反を管轄しています。悪質な事業者への指導を求めることもできます

 

「窓口に相談したところで意味があるの?」と思うかもしれませんが、消費生活センターに相談が入ると、業者側に連絡が入るケースがあります。特に、異議留保を書いた領収書があると、話が進みやすくなることがあります。

 

相談する前に、以下を手元に用意しておくと確認がスムーズです。

 

  • 業者とのやり取りの記録(日時・担当者名・伝えた内容)
  • 見積書のコピー(請求との差分が確認できるもの)
  • 異議留保を書き加えた領収書
  • 引越し前後の写真(荷物の量・状態が確認できるもの)

 

その場で全部は無理でも、見積書と領収書だけあれば相談は始められます。

 

追加請求を事前に防ぐには——訪問見積もりが最大の保険

電話見積もりと訪問見積もりで「責任の所在」が変わる

電話見積もりの場合、荷物の量や状態は依頼者の自己申告に基づきます。申告漏れがあれば「依頼者の責任」と判断されやすくなります。

 

一方、訪問見積もりの場合は、業者が実際に荷物を確認しているため、当日になって「思ってたより多かった」と言われても、業者側の確認不足として交渉しやすくなります。

 

見積もり方法 申告漏れがあったときの責任
電話見積もり 依頼者の申告ミスとみなされやすい
訪問見積もり 業者が現物確認済みなので業者側に交渉余地あり

 

忙しくても、全部を電話見積もりだけで済ませると、当日になって追加料金の話が出ることがあります。候補の中から1〜2社だけでも実際に来てもらうようにすると、時間の負担を減らしながらトラブルを防げます。

 

特に2DK以上のファミリー引越しや、道路が狭い・階段が多い物件では、訪問見積もりなしで進めると当日トラブルの確率が上がります。「電話見積もり専門」を売りにしている業者には、訪問に来てもらえるか確認してみることをおすすめします。

 

見積書に書かれていない作業は当日確認サイン前に止める

引越し当日、業者から作業の確認書類にサインを求められることがあります。このとき、

 

サインをする前に、見積書と内容が一致しているかを確認してください。「これは最初の見積もりに含まれていますか?」と聞く権利があります。

 

特に以下の項目は当日に「実は別料金でした」となりやすい箇所です。

 

  • エアコンの取り外し・取り付け工事
  • クレーン車が必要な高層階・狭小路地
  • 荷物の梱包・開梱サービス
  • 大型家具の解体・組み立て
  • 不用品の処分・回収

 

これらが見積書に記載されていなければ、当日に追加を求められても断ることができます。「じゃあそのサービスはなしで」と伝えれば、作業自体を省いてもらえることが多いです。

 

→ 見積もりの段階で金額を下げる方法は「引越し料金の値引き交渉のしかた」で解説しています。

 

追加請求トラブルを避けるための最大の対策は、最初の業者選びです。複数社を一括で比較しておくと、説明が丁寧な業者かどうかが事前に見えてきます。

 

まとめ——「断れる?」の答えと3つのチェックポイント

この記事のポイントを3点にまとめます。

 

  • 見積書に記載がなければ原則断れます。標準引越運送約款により、見積書を超える追加請求は原則認められていません
  • 申告漏れがあった場合は支払いが必要になることも。ただし「その金額の根拠」を確認する権利は常にあります
  • やむを得ず払う場合は異議留保を活用。領収書に「本支払いは強要によるもので納得していません(異議留保)」と書いておくと、後から返金請求できます

 

追加請求を避けたいなら、最初の見積もり段階で荷物量や作業内容をしっかり確認しておくことが大切です。一括見積もりで複数社を比べておくと、見積もり内容や説明の丁寧さも比較できます。

 

一括見積もりで複数社を比べると、見積もり内容の説明が丁寧な業者を選べます。それが追加請求トラブルを防ぐ、最初の一手です。

 

※本サイトに掲載している料金・相場は特定時点の参考値です。実際の料金は荷物量・移動距離・時期・作業条件によって変わります。正確な金額は各引越し業者の公式サイトまたは見積もりで必ずご確認ください。

 

 

よくある質問(FAQ)

Q. 引越し業者からの追加請求は断れますか?

A. 見積書に記載されていない追加料金は、標準引越運送約款により原則として断れます。ただし、荷物の申告漏れなど依頼者側に起因する場合は、支払い義務が生じることがあります。

 

Q. 当日に追加料金を請求されたらどうすればいいですか?

A. まず「見積書に記載がありますか?」と冷静に確認してください。記載がなければ断れる可能性があります。やむを得ず支払う場合は、領収書の余白に「本支払いは強要によるもので納得していません(異議留保)」と記載しておくと、後から返金請求できます。

 

Q. 電話見積もりで申告漏れがあった場合、追加料金は払わなければなりませんか?

A. 申告漏れが依頼者の側にある場合は、追加料金が発生することがあります。ただし金額が妥当かどうか確認し、見積書に記載がない場合は「見積書と違う」と指摘することができます。訪問見積もりを行っていた場合は、業者側の確認不足として交渉しやすくなります。

 

Q. 異議留保とは何ですか?領収書にどう書けばいいですか?

A. 異議留保とは「支払いには応じるが、納得はしていない」という意思を示す方法です。領収書の余白か但し書き欄に「本支払いは強要によるもので納得していません(異議留保)」と記載してください。これにより後から返金請求を行う権利を留保できます。

 

Q. 追加料金のトラブルをどこに相談すればいいですか?

A. 消費者ホットライン「188」(年末年始を除く原則毎日)か、最寄りの消費生活センターに相談できます。国土交通省の自動車局も、引越し業者に関するトラブルを管轄しています。

 

【参考・出典】

・国土交通省「標準引越運送約款の改正について」(令和7年3月19日 国土交通省告示第193号・2025年4月1日施行)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000033.html

・消費者庁「消費者ホットライン(188)」
https://www.caa.go.jp/about_us/about/contact/