森山さんは骨董品や絵画など美術品を集めるのが趣味です。
家族や友人からは「お金のかかる趣味だね。」と言われるのですが、収集をやめることができずにいます。
旅先やネットで珍しいものや気に入ったものを見つけるとついつい購入してしまい、家の中は美術館さながらです。
中には鑑定会で高値がついたものが何点もあります。
譲ってほしいと何度も方々から依頼を受けたのですが、譲ることはせず、自宅に保管し、時々眺めて楽しんでいるのです。
先日相続で妻が実家を譲り受けることになり、現在の賃貸マンションから引っ越すことを決めました。
最近手狭になってきたと考えていたところにこの話。
今より広い家に引っ越すことが決まり、森山さんは大喜びです。
妻は片付けのためにひと月前より実家に戻っており、森山さんは当日荷物と一緒に実家に行こうと考えています。
引越し業者への依頼とマンションの片づけは森山さんの分担になっています。
まず、今の状態で引っ越し代がいくらかかるのか知りたい方はこちら
見積もり依頼
業者の担当者は
貴重なものはうちでは運べません
と言うのです。
また
自分も一緒に乗せて行ってほしい
とお願いしたところ、
それはできません
と断られてしまいました。
出発地も到着地も同じなのにどうしてなのか森山さんは納得がいきません。
どうしたらいいの?
引越し業者には、運んでもらえる物と運んでもらえない物があるのです。
物によって別料金を出すと運んでもらえるものから、料金を支払っても運んでもらえないものまで様々なのです。
知らずに何でも運んでもらえると思っていると、引越し当日に「運べない」と言われ、途方に暮れることになるので、事前に業者に確認をしておくことが大切です。
運べない理由
森山さんのコレクションの価値は相当なもののようです。
高価な物とか貴重品は「保証できかねます。」と断られるのが一般的なようです。
現金や宝石類は当然運んでもらえないだろうなと察しがつくのですが、高価な美術品も預かってもらえないのです。
もしも美術品に傷が入ったり壊れたりした場合
破損した場合に賠償金額が大きく、また代替品で弁償というわけにはいきません。
預かるにはあまりにも負担が大きいということでしょう。
100%確実に運送できるという余程の自信がない限り、誰もこんな高価なものを運びたくないですよね。
しかし、中には多くはないものの美術品などの特殊な梱包や運搬を得意とする業者もあります。
インターネットで検索をかけるとヒットしますので、こういったものを所有している場合は相談をしてみてはいかがでしょうか。
運べないもの例
前に述べた現金や預金通帳、株券などの有価証券や宝石、貴金属なども運んでもらうことはできませんよ。
これを万が一紛失したら、当然トラブルになります。
依頼者、業者双方の痛手となってしまうのでいいことありませんよね。
自宅に金の延棒を何十本、通帳を何十冊も保管しているという人はそうそういないでしょう。
通帳などはそれほど重いものではありませんので、こういったトラブルを避けるためにも、貴重品は自分で運ぶのがベストです。
引越し業者が難色を示すもののひとつに楽器があります。
振動や衝撃に弱く、ちょっとしたことで音が狂ってしまうというとてもデリケートなものです。
特にピアノは多くのご家庭にある楽器です。
大型楽器は移動がたいへんですから業者が渋るのも仕方ありません。
もし仮に引き受けてくれたとしても、特殊な物の運搬に慣れていない業者であれば壊したり傷を付けたりということもあるかもしれません。
楽器は専門の輸送業者に頼んだ方がよさそうです。
火薬類、ガソリンなどの危険物
も当然ながら運んでもらえません。
これは標準引越運送約款第4条の第2項に定められています。
引越しの途中であってもこういった危険物が積まれていることに気が付いたら、その時点で運搬を拒否できるというルールがあります。
運搬中の事故は避けなければなりませんからね。
ここまで読んでくださったあなた、うちには火薬やガソリンを自宅に置いていないから、関係ないと思っていませんか?
いえいえ、意外にもあなたの身近なものが危険物だったりするのですよ。
確認しておくべきもの
ガソリンの入った車、灯油の入ったストーブなどが危険物の代表的な物です。
車の運搬はお願いするとしてもらえるのですが、車にガソリンを入れたままでは火災の恐れがあり、引き受けてもらえません。
また石油ストーブ自体は通常の荷物としての取り扱いができるのですが、ストーブの中に灯油が入ったまま運搬をお願いすることはできません。
運搬をお願いする際は、しっかりガソリンや灯油を抜いておくようにしましょう。
その他にガスボンベ、酸素ボンベや消火器なども危険物とみなされます。
食用油も大量だったりすると運べないと言われてしまうことがあります。
どこの家庭にでもあるような身近なものも、危険物扱いになってしまう可能性があります。引越し前にしっかり確認して、必要なら処分しておきましょう。
その他
ペットや観葉植物です。
意外に思われる方もいらっしゃるでしょうが、ペットや観葉植物は、一般の荷物としては取り扱われないのです。
こちらも標準引越運送約款第4条に定められています。よって業者には拒否する権利があるのです。
しかし最近ではオプションとして運搬をする業者が多くなりました。
犬や猫などの一般的なペットはほとんどの業者が対応してくれます。
植物については、業者によっては通常の荷物同様運んでくれるところも多いので、一度相談してみてはいかがでしょうか。
ただし、専門ではない引越し業者に頼む場合、専用の用具やノウハウが足りないため、ペットや植物に大きな負担がかかり、可哀そうな思いをさせてしまうというリスクは考えておきましょう。
人もそうなのですが、日常と違った環境に置かれ、車や飛行機などで運ばれると、かかるストレスも大きくなってしまうでしょう。
植物も葉や枝が折れたりなどのリスクもありますので、そこを考慮したうえでお願いすることです。
今回の例
「自分も一緒に連れて行ってほしい。」とお願いして断られてしまった森山さんです。
たとえ引越し先までの交通手段がなかったとしても、荷物と一緒に運んでもらう事はできません。
出発地も到着地も同じなのにどうしてダメなのか森山さんは納得がいかないようですが、万が一移動中に事故に遭ってしまったら、どうなるでしょうか?
人を乗せることは禁止されています。
荷物に対する保険は適用されても、森山さんに対する保険は適用されないのです。
それを無理やりというのでは業者の方の迷惑になってしまいます。
引越し業者に荷物をお願いして、森山さんには自力で引越し先まで移動するというのが基本なのだと覚えておきましょう。
まず、今の状態で荷物のみの引っ越し代がいくらかかるのか知りたい方はこちら