最終更新:2026年7月20日
引越しで、扱いに迷うもののひとつが、仏壇です。
ふつうの家具のように運んでいいのか。何か、やっておくべき作法があるのか。そして、引越し先がマンションだと、そもそも置く場所があるのか。
仏壇は、ご先祖さまや故人と向き合う、大切な場所です。だからこそ、失礼のないように、きちんと引越したいですよね。
仏壇の引越しの作法と費用、そして今どきの住まいでの置き方まで、順番にお話しします。
仏壇も運べる引越し業者を探すなら、まず複数社を見比べるところから。
仏壇の引越しは、3ステップ

仏壇の引越しは、大きく3つのステップで進みます。
簡単に言うと、仏壇にいったん「お休み」してもらってから運び、新居で「起きて」もらう、というイメージです。
この魂抜きと魂入れは、菩提寺(お付き合いのあるお寺)の僧侶にお願いします。引越しの日程が決まったら、早めに連絡しておきましょう。繁忙期は、お寺も予定が埋まりやすいからです。
もし、お付き合いのあるお寺がない場合は、どうすればいいのでしょうか。
その場合は、仏壇店に相談すると、僧侶を手配してくれるサービスがあります。
最近は、インターネットで僧侶に来てもらえる手配サービスも増えています。「お寺とのつながりがないから」と、あきらめる必要はありません。
では、それぞれ、もう少しくわしく見ていきます。
魂抜き(閉眼供養)は必要?宗派で違う
いちばん多い疑問が、「魂抜きは、絶対に必要なの?」というものです。
結論から言うと、これは宗派やお寺、ご家庭の考え方によって変わります。
一般的には、仏壇を移動させるときには、魂抜きと魂入れを行う、とされています。仏壇を「ただの家具」ではなく「魂の宿る場所」と考えるからです。
ただ、ここは宗派によって考え方がちがいます。
たとえば浄土真宗では、「魂を抜く・入れる」という考え方をとりません。かわりに「遷仏法要(せんぶつほうよう)」という、仏壇を移すための法要を行います。呼び方も、意味あいも、少しちがうんです。
魂抜きが必要かどうか、どんな形で行うかは、宗派やお寺で異なります。自己判断せず、まずは菩提寺に相談するのがいちばん確実です。お寺がない場合は、仏壇店でも相談に乗ってもらえます。
「しっかりやらないと、故人に申し訳ない」と、気に病む方もいます。でも、大切なのは形式そのものより、故人を思う気持ちです。まずはお寺に相談して、自分の家に合った形で送り出してあげてください。
お布施の相場は?
魂抜きや魂入れをお願いするとき、僧侶にお渡しするのが「お布施」です。
お布施は、本来は「気持ち」なので決まった額はありませんが、目安となる相場はあります。
仏壇の魂抜き・魂入れのお布施(相場・2026年)
| 項目 | 相場 |
|---|---|
| 魂抜き(閉眼供養)のお布施 | 1万〜3万円 |
| 魂入れ(開眼供養)のお布施 | 1万〜3万円 |
| お車代(お寺の外で行う場合) | 5千円ほど |
(出典:いい葬儀/SUUMO引越し/小さなお葬式 2026年)
ひとつ、気をつけたいことがあります。お布施の金額で、4万円は避けましょう。「4」が「死」を連想させるため、縁起の悪い数字とされているからです。
(出典:いい葬儀/SUUMO引越し 2026年)
金額に迷ったら、お寺に「お布施はどのくらいお包みすればよいでしょうか」と、そのまま尋ねても失礼にはあたりません。地域やお寺によって相場は変わるので、聞いてしまうのがいちばん確実です。
仏壇の運び方と、業者選び
魂抜きが済んだら、いよいよ運びます。
仏壇は、精密で繊細な作りです。家具のように、横に倒したり、上に物を載せたりするのは避けましょう。
運ぶときの基本は、こうです。
- 位牌やご本尊、仏具は、先に取り出して、別に手荷物で運ぶ
- 仏壇本体は、できるだけ立てたまま運ぶ
- 毛布などで包んで、傷や衝撃から守る
- 扉や引き出しは、動かないようテープでとめておく
とくに気をつけたいのが、位牌とご本尊です。これは仏壇の中でも、いちばん大切なもの。引越し業者の荷物に混ぜず、自分の手で、大切に運んでください。
仏具の中には、細かい飾りや、外れやすい部品もあります。写真を撮ってから外しておくと、新居で元どおりに戻せます。ひとつひとつ、緩衝材で包んでおくと安心です。
小さな仏壇なら、自分で運ぶこともできます。でも、大きな仏壇や、高価な仏壇の場合は、無理をしないほうが安心です。
引越し業者の中には、仏壇の扱いに慣れたところや、仏壇専門の運搬・移設サービスもあります。見積もりのときに「仏壇があります」と伝えて、対応できるか確認しておきましょう。
マンションでの、仏壇の置き場所

引越し先がマンションだと、「仏間がないけど、どこに置けばいいの?」と悩む方が多いです。
でも、心配いりません。仏間がなくても、仏壇は置けます。
マナーさえ守れば、置く部屋に決まりはありません。避けたいのは、次のような場所です。
- 直射日光が長時間あたる場所(仏壇が傷み、色あせる)
- 湿気がこもりやすい場所(カビや変形の原因になる)
- エアコンの風が直接あたる場所(乾燥で傷みやすい)
- 人がバタバタと通る、落ち着かない場所
(出典:なーむくまちゃん工房/e-butsudan 2026年)
逆に言えば、これらを避ければ、リビングでも寝室でも大丈夫です。毎日、手を合わせやすい場所を選ぶのが、いちばんです。
向きについては、宗派によって考え方がありますが、近ごろは「置ける場所に置く」という考え方も広まっています。ここも、気になるなら菩提寺に確認すると安心です。
もうひとつ、マンションでよくある悩みが、「上の階に人が住んでいる部屋に、仏壇を置いていいのか」というものです。
これも、近ごろは「気にしすぎなくてよい」という考え方が広まっています。
どうしても気になる場合は、仏壇の上の天井に「雲」や「空」「天」と書いた紙を貼る、という方法が知られています。
「仏壇の上には、天(空)だけがある」という意味を表すための、昔からある慣習です。仏壇店でも、この字を書いた紙を扱っていることがあります。
マンション暮らしでも、工夫しだいで、心を込めて手を合わせる場所はつくれます。
今は「モダン仏壇に買い替える」人も増えている
引越しをきっかけに、仏壇そのものを見直す方も、増えています。
昔ながらの大きな仏壇は、マンションやモダンな住まいには、置きにくいこともあります。そこで、引越しや住み替えのタイミングで、コンパクトな「モダン仏壇」に買い替えるケースが目立ってきました。
(出典:メモリアル仏壇/INORI ORCHESTRA 2026年)
モダン仏壇は、家具のようなデザインで、リビングにもなじみやすいのが特長です。位牌やご本尊は、そのまま新しい仏壇に移せます。
古い仏壇は、買い替えた仏壇店で引き取ってもらえることが多く、割引や無料になる場合もあります。このとき、古い仏壇には、忘れずに魂抜きをしてから手放します。
もちろん、「今の仏壇を、大切に使い続けたい」という思いも、とても尊いものです。買い替えは、あくまで選択肢のひとつ。ご家族で相談して、納得のいく形を選んでください。
なお、仏壇を手放して処分する「仏壇じまい」の場合も、魂抜きをしてから、仏壇店やお寺、専門業者に引き取ってもらうのが一般的です。処分費用は、あわせて2万〜5万円ほどが目安です。
(出典:らくらく整理/墓じまい供養 2026年)
仏壇も運べる業者を、見積もりで選ぶ
最後に、業者選びです。
仏壇の運搬に、どこまで対応してくれるかは、引越し業者によってちがいます。仏壇専門の梱包をしてくれるところもあれば、基本的な運搬だけのところもあります。
だからこそ、見積もりのときに「仏壇があること」を伝えて、対応を比べるのが大切です。
料金だけでなく、仏壇のような大切なものを、ていねいに扱ってくれるか。その姿勢も、見積もりのやりとりから見えてきます。
何社かに見積もりを取って、料金と対応を、まとめて見比べてみてください。仏壇を安心してまかせられる業者が、きっと見つかります。
仏壇の運搬も含めて、引越し料金を比べたい方はこちら。
まとめ
仏壇の引越しで、押さえておきたいことをまとめます。
- 引越しは「魂抜き→運搬→魂入れ」の3ステップ
- 魂抜きが必要かは宗派で違う。まず菩提寺に相談を(浄土真宗は遷仏法要)
- お布施の相場は1万〜3万円。4万円は避ける
- 運ぶときは、位牌を先に出し、仏壇は立てて毛布で保護
- マンションでも、直射日光と湿気を避ければ置ける
- 引越しを機に、モダン仏壇へ買い替える人も増えている
仏壇の引越しは、作法さえ知っておけば、こわくありません。ご先祖さまや故人を、気持ちよく新居へお迎えして、新しい暮らしを始めてくださいね。
※本サイトに掲載している料金・相場は特定時点の参考値です。実際の料金は荷物量・移動距離・時期・作業条件によって変わります。正確な金額は各引越し業者の公式サイトまたは見積もりで必ずご確認ください。
出典・参考リンク
- いい葬儀/小さなお葬式「仏壇の魂抜き・お布施の相場」(2026年)
- SUUMO引越し「仏壇の引っ越し・魂抜き」(2024-2026年)
- お仏壇のはせがわ「お仏壇の引越し3つの方法と費用」
- なーむくまちゃん工房/e-butsudan「マンションでの仏壇の置き場所」(2026年)
- メモリアル仏壇/INORI ORCHESTRA「引越しとモダン仏壇」(2026年)

