見積もりをもらった後でも、まだ引越しを依頼する合意をしていなければ、断って構いません。一方、依頼を申し込み、業者も引き受けている場合は、契約後の解約として扱いを確認します。「見積書を受け取ったか」だけで分けないことが大切です。
ここでは、標準引越運送約款に沿って、契約前に断る場合と契約後にキャンセルする場合を整理します。実際に適用される約款・プランと、見積書の記載も確認してください。
見積もりだけか、契約後かを確かめる
相見積もりで金額を出してもらっただけなら、その業者に必ず頼む必要はありません。比較中は「今日は見積もりだけで、依頼はまだ決めていません」と伝え、依頼先を決めたら他社へ辞退を連絡しましょう。
ただし、電話などで料金や日程を了解して依頼し、業者が引き受けていれば、書面に署名していなくても契約が成立している場合があります。北海道運輸局の引越相談Q&Aでも、電話での依頼と了解により契約が成立する例が示されています。
「仮予約のつもりだった」という時は、申込み画面、見積書、メール、担当者とのやり取りを確認します。業者には、いつ・どの内容で依頼を受けた記録があるか聞いてください。契約の認識が違うまま、費用だけの話を進めないようにしましょう。
見積料・内金と下見費用の違い
標準引越運送約款第3条第4項では、見積料は請求しないと定めています。第5項では、見積もり時の内金・手付金等も請求しない定めです。「見積もりに来てもらったから契約しなければ」と考える必要はありません。
ただし、発送地・到達地で下見を行った場合の実費には例外があります。見積もり前に金額を知らせ、申込者の了解を得ている時に限り、下見に要した費用が請求されることがあります。「見積料」「内金」「下見費用」を一緒にせず、事前の説明と請求内容を照合しましょう。
これらは見積もり時の定めです。別に注文した商品や、提供された資材の扱いまで一律に無料になるという意味ではありません。根拠は国土交通省「標準引越運送約款」第3条(PDF)で確認できます。
契約後の解約手数料と確認連絡
第21条の手数料は、利用者の責任による解約・受取日の延期を、見積書に記載された受取日の前々日・前日・当日に伝えた場合が対象です。基準は荷物を受け取る日で、新居へ届ける日とは限りません。
| 連絡した時期 | 解約・延期手数料の上限 |
|---|---|
| 受取日の3日前まで | 手数料の対象外 |
| 前々日 | 対象となる見積運賃等の20%以内 |
| 前日 | 対象となる見積運賃等の30%以内 |
| 当日 | 対象となる見積運賃等の50%以内 |
計算の対象は運賃と、積込み・取卸し・搬出・搬入・荷造り・開梱の料金です。見積総額にそのまま割合を掛けるのではなく、対象の内訳を確かめます。「以内」は上限を示し、必ずその割合を支払うという意味ではありません。
第21条第3項では、利用者の責任による解約の場合、既に実施・着手した附帯サービスの費用を別に収受する定めがあります。対象は見積書に明記されたものに限ります。3日前まででも、手数料とこの費用は分けて確認してください。
第3条第7項の確認がなかった場合
業者は受取日の3日前までに、見積書の記載内容に変更がないか等を確認します。この確認を行わなかった場合、第21条第1項ただし書により解約・延期手数料は請求されません。同条第4項により、第3項の附帯サービス費用も請求されない定めです。
「電話に出た覚えがない」だけで決めず、メール、着信履歴、業者側の確認日時・方法・内容を照合しましょう。判断が分かれたら、見積書とやり取りをそろえて消費者ホットライン188へ相談してください。詳しくは契約後のキャンセル料・延期手数料の確認方法で解説しています。
断り方とキャンセルの例文
見積書や公式案内の受付窓口へ、氏名・予定日・見積番号を添えて連絡します。理由を作ったり、長く説明したりする必要はありません。辞退するのか、契約済みの依頼を解約するのかをはっきり伝えます。
契約前に見積もりを断る例
見積もりをいただいた○○です。見積番号は○○、引越し予定日は○月○日です。検討した結果、今回は依頼を見送ります。お見積もりいただきありがとうございました。今後のご案内は不要です。
契約後にキャンセルする例
○月○日の引越しを申し込んだ○○です。受付番号は○○です。今回の依頼をキャンセルします。解約の受付と、費用がある場合は約款上の根拠・計算対象・内訳をご案内ください。受け取った資材の扱いも確認したいです。
直前の連絡は受付時間と方法を確かめ、受付日時・担当者名・回答を残します。メールを送っただけで受付完了と決めつけず、受領の確認を取りましょう。連絡がつかない時も、送信や発信の記録は保管してください。
段ボールを受け取っている場合
段ボールやテープは、未使用・使用済みの数量と、受け取った時の説明を確認します。返却先、返送方法、送料、資材代を聞き、解約手数料とは分けて記録しましょう。契約前に置いていかれた場合も、説明や合意があったかを確かめます。
国民生活センターも、契約前に資材を受け取る際は扱いを確認するよう案内しています。対応手順は見積もり時に受け取った段ボールのトラブルと返却をご覧ください。
大手各社の公式キャンセル案内
会社・プランごとの条件や連絡方法は、下記の公式案内で確認してください。見積書と、申込み時に適用された約款も手元に用意しましょう。
| 会社 | 公式の案内ページ |
|---|---|
| サカイ引越センター | 補償のFAQ(引越しの何日前ならキャンセルできるか) |
| アート引越センター | 最終確認後のキャンセルは? |
| アーク引越センター | 標準引越運送約款(解約手数料・第21条) |
| 日本通運(日通) | 解約時のキャンセル料に関するFAQ |
| アリさんマークの引越社 | よくある質問(料金・キャンセル) |
よくある質問
見積もりを受けただけでも断れますか?
引越しを依頼する合意をしていない契約前なら、断って構いません。見積料は請求されませんが、事前に金額の通知と了解があった下見費用は例外です。申込み済みか曖昧な時は、電話やメールの記録と業者の受付内容を照合してください。
契約後のキャンセル料はいつからですか?
標準引越運送約款では、利用者の責任による解約を受取日の前々日・前日・当日に伝えた場合、対象となる見積運賃等の20%・30%・50%が上限です。3日前までは手数料の対象外ですが、条件を満たす附帯サービス費用は別に確認します。
事前の確認連絡がなければ手数料は不要ですか?
第3条第7項の確認を業者が行わなかった場合、第21条第1項ただし書により解約・延期手数料は請求されず、同条第4項により第3項の附帯サービス費用も請求されません。連絡の有無は、業者側の確認記録も照合します。
受け取った段ボールはどうすればよいですか?
契約前後や未使用・使用済みの状態、提供時の説明を確認し、返却先・返送方法・送料・資材代の扱いを業者に聞きましょう。解約手数料と資材の費用を分け、合意するまで記録を保管してください。
依頼先を改めて比較する場合は、荷物量や日程をそろえて見積もりを取りましょう。
出典・参考リンク
- 国土交通省「標準運送約款」の標準引越運送約款(最終改正:令和7年国土交通省告示第193号)。第3条第4・5・7項、第21条を確認。
- 国民生活センター「引越トラブルにご注意」(2026年2月4日)
- 北海道運輸局「引越相談Q&A」(電話での依頼と契約成立の例)
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