春山さんは、住宅事情から結婚後もご主人と別に暮らしていました。

 

やっとふたりの希望に合った新築のマンションが見つかったため、そこを購入し、ご主人と先日引越しをしました。

 

貴重品はすべて春山さん自身のバッグに入れて、 業者の荷物搬入中は目につきやすいキッチンのカウンターの上に置いていました。

バック

 

やっと引越しが終わり、貴重品をケースにしまおうとバッグをチェックしたところ、大切な時計が見つかりません。

 

この時計は新婚旅行の際に結婚の記念として、春山さんからご主人に贈った時計で、かなり高額なものでした。

 

引越し作業の前に一度確認しており、またバッグにはファスナーが付いているため落とすということは考えにくいのです。

 

疑いたくないのですが、作業中に盗られたのではと春山さんは思っています。

 

 

なくなったバックどうする?

バッグをいつもいつも見ていたわけではなく、近所のコンビニに差し入れを買いに行く際は財布だけ持って行き、バッグは置いたままでした。

 

 

主人がいるので盗難に遭うなどとは夢にも思わず、気も付かなかったのですが、今にして思えば主人も私同様、作業に追われ、常にバッグを見ていたわけではないと思います。


 

と言い、

 

複数あるものの中から一番高価な時計だけがなくなったというところが何だか盗難のにおいがするんですよね。

 

と 悔しそうです。

 

業者の人は3名。

 

全員感じが良く、とてもそのようなことをする人たちに見えなかったと言います。

 

疑いたくはないのですが、結婚の記念に贈った思い入れのある品なので、とても悲しくて、悔しくてなんとかならないかと悩んでいます。

 

春山さんは涙をこぼしています。

 

よくあることなの?

 

これを読んで「ありえない」と怒りを感じた方、「春山さんの管理のミス」と思われた方、様々でしょう。

 

引越しの現場では大なり小なりトラブルが起こる事は珍しくありません。

 

ときには予測できないような大きなトラブルが発生することもあります。

 

今回のケースのようなことが実際に起こってしまったらどうしたらいいのでしょうか?

 

このケースは引越し先の作業中のトラブルですが、引越し作業中に「荷物がなくなってしまう」というトラブルは珍しくない様なのです。

 

一般的なよくあるトラブル

 

お客様の大切な荷物を預かって、それを無事に新居へ届けるのが引越し業者の務めです。

 

「お客様の大切な荷物を預かっている」という意識をどれくらいしっかり持っているのかが良い業者とそうでない業者の違いだと私は思います。

 

この意識レベルが低いとトラブルが発生するわけなのです。

はてな?

 

作業員が多ければ、目が多い分、盗難などのトラブルが起きにくいのですが、少なければトラックから住居へ運んでいる、人の目がなくなった状態のときにものがなくなってしまうといったことが起きるわけです。

 

トラックに必ず1名付いていて人の目がなくならないように配慮する。

 

または作業員が少なければ、人がいないときにはトラックに鍵をかけるというような管理体制をとってもらうと安心ですよね。

 

引越しの見積もりの際に作業員の人数などの確認はできるはずです。

 

その際にこういった盗難予防など管理体制について、また紛失、破損などについての補償について十分説明を求めることは欠かせないと思います。

 

この他にも置き忘れ、だれか持って行っているだろうとかの他人任せなどなど。

 

気づけばいいんですけれど、気づかないで後で気づいたときには盗られているなんてこともありますので、業者任せにしないで依頼者も管理をしっかりしないといけませんね。

 

引越しの時間が遅くなってしまったから急ぎたい、トラックにいちいち鍵をかけてなんていられないといった場合は?

 

仕方ありません、「盗るなら盗ってくれ。」と諦めますか?

 


自分はお客さんではありますが、作業員に代わってトラックで荷物を見張るという方法もありますよね。

 

そうすることで作業員は荷物を運ぶことに集中できますので効率も上がります。

 

このとき大事なのは、貴重品は必ず自分の身に着けておくことです。

 

こればかりは人任せにできません。責任を持って管理しましょう。

 

お客さんの私がそこまでやらなきゃいけないの?と思う方もいらっしゃるでしょうね。

 

これはひとつの提案だと考えていただければ。

 

もちろん、他にもいろいろと作業があって忙しいわけで、必ずそうしなければならないというわけではないのです。

 

しなくてもいいのですが、ただ、自分の荷物は自分でしっかり守ろうという意識を持つことで作業がスムーズになり、結果いい引越しができることも少なくありません。

 

今回のケースについて

 

さてさて、今回のケースなのですが、残念なことにこのようなことも時折起こります。

 

引っ越しだけでなく、一般の荷物の配送も含め、「なくなった」「預けたのに預かっていないことになっていた」ということは珍しくない様なのです。

 

そして今回のケースのように高価な時計や貴金属、現金の場合も含めて、なくなったものが戻ってくることはほとんどありません、というか戻らないと言ってもいいでしょう。

 

酷なことを言うようですが、春山さんの時計も戻らないと考えた方がいいでしょう。

 

ただ、悶々としていても何の解決にもなりません。

 

悩んで泣いているより、まずできることから動いてみることです。

 

今の春山さんにできることは、引越し業者に事情を説明し調べてもらうことです。

 

お気持ちはわかりますが、けんか腰にならないで、冷静に状況をありのままに話しましょう。

 

ほとんどの会社は普通誠意をもって対応してくれます。

 

しかし繰り返すようですが、なくなったものが戻る可能性はほぼ無いと言っていいでしょう。

 

今回のケースのようなことは組織的に行われていることはまずありません。

 

従業員が個人で行っていることが多く、同僚すらそのようなことが行われていることを知りません。

 

ですから苦情が来たからといって引越し業者側は、簡単に責任を認めることはしないでしょう。

 

しかし、常日頃からほとんどの会社内でコンプライアンスについての教育というものがなされており、厳しく業務に対する意識づけもされています。

 

簡単に認めはしませんが、その代わり社内で厳しい調査を行います。

 

もし、そのような苦情が何件か届くようであれば、社内で犯人を特定できますよね。

 

ですから諦めて泣き寝入りをしてはいけません。

 

引越し業者に警察に被害届を出す旨を伝え、届を出すというのもひとつの方法です。

 

業者にプレッシャーを与えるという意味ではなく、紛失したことに対してきちんと手続きを重ねるということを示すためです。

 

こうすることでお互いに誠意を持って対応することができると思いますから。

 

 

被害届は刑事告訴に比べて強力な法律効果はなく、単なる事件の申請として受理されますが、一応捜査がなされます。

 

こうしておくと後々保険などの申請をする際の公的証明になるでしょう。

 

保険について

この保険のことなのですが、家屋の保険に加入している方は家財保険などにも加入しているという方が多いのではないでしょうか?

 

しかし貴金属などは贅沢品などとみなされることも多く、一般の家財とは分けられ別の保険に加入することが多いようですね。

 

通常、住宅に関する保険は住宅内のみの補償になります。

 

引越し中に起きた事故については「いつ」「どこで」などはっきりしないことが多く、いろいろと損害査定が複雑です。

 

ですから加入している保険会社に問い合わせてみることがベストだと思います。

 

電話

 

引越し業者は当然独自で保険をかけています。

 

主に物損や搬入等に関する人損のカバーのためでしょう。

果たして業者が盗難についての保険に加入しているかどうかはわかりませんし、業者が加入している保険というのは損害賠償金を被害者に支払ったものの補てんのためであることが多いため、業者に確認するとか契約書を確認することが必要になります。

 

また、補償してもらえる場合でも限度額が設けられている場合が多いので、全額補償してもらえるかどうかはわかりません。

 

いろいろと周りの方に相談されると希望的観測で、期待をもたせるようなご意見をいただくかもしれません。

 

酷なようですが「あまり期待はしない方が」というのが私の意見です。

 

ですが、動いてみないことにはわかりません。問い合わせてみることでいくらか補償への道が開けるかもしれません。簡単にあきらめないことです。

 

春山さん、せっかく新居に引越しご主人と暮らせるようになったのに、こういうトラブルに巻き込まれ大変残念なことになりました。

 

「簡単にあきらめないで。」と言いましたが、こういったトラブルが発生した場合、被害に遭った方が「訴えるぞ。」と強硬手段に出てしまう。

 

更にトラブルが大きくなり、そのことがストレスになって家庭内がギクシャクするということも多いようです。

 

このような2次被害を生まないためにも、あくまで冷静に常識の範囲内で行動するようにしましょう。

 

なくなった時計が、春山さんご夫婦の大切な記念の品ということで、大変お気の毒に思います。

 

しかし、ものは無くなってもご主人は春山さんのお気持ちは十分理解していらっしゃるのではないでしょうか。

 

ご主人への気持ちがどうしてもおさまらないと言うのであれば、別のものを贈ってみるのはいかがでしょうか。

 

たとえ高価な時計でなくても、春山さんが心を込めて贈るプレゼントであればきっとご主人に喜んでもらえるのではないかなと思います。

 

どうぞ気持ちを切り替えて、新しい住まいでの生活を楽しんでいただきたいと思います。

 

心の傷は時間が解決してくれますよ、きっと。

 

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